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Young Researcher Award (若手研究者賞)

河合竜也さん(統計ファイナンス研究室)が Young Researcher Award (若手研究者賞)を受賞

 2014年11月7日、広島大学で開催された国際学会 IEEE SMC Hiroshima Chapter において河合竜也さん(統計ファイナンス研究室・修士2年生)がYoung Researcher Award (若手研究者賞) を受賞しました. IEEEはアメリカを中心とする非営利の専門機関で、会員は世界各国に及び、世界で最も巨大な学術団体です。

 同研究では企業の資本構成と株式収益率の関係に関してGrahamのKINKを用いて研究しました。

発表タイトル Statistical Analysis of the Influence of the Capital Structure on the Stock Price

 GrahamのKINKとは従来の自己資本と負債だけでなく、企業の収益面も考慮に入れた、より現実的な企業の資本構成を表す指標です。同研究ではKINKを用い、我が国の企業の資本構成に関する平均回帰性を調べ、企業のファインナンス行動に関する集団的な行動、すなわち企業のファイナンス行動を市場がどのように評価しているのかを、KINKと株式収益率の関係に関して回帰分析を行うことにより実証分析を行いました. 資本構成と株価との関係を調べた先行研究は少数であり、しかもKINKを用いるのは画期的なアイデアでした.

研究の結果、我が国の企業のファイナンス行動には、一定の集団的な行動が見られた一方で、その行動はKINKの定義による最適資本構成とは離れていました。すなわち市場からの評価も決してKINKの定義による最適資本構成を取る企業を高く評価しておらず、この意味で我が国の企業のファイナンス行動は歪んでいることがわかりました. この歪みは、企業の財務担当者だけが原因ではなく、歪んだ資本構成の企業を評価する市場の嗜好にも原因があると推定しました。

KINKと株式収益率の間には、密接な関係があることが判明し、これによりKINKという指標の日本市場における有効性が高まりました。そこで、KINKを参考指標にしたポートフォリオ運用や、Fama-Frenchマルチファクターモデルに追加する新たな指標としての可能性など、様々なファイナンス分野への応用が期待できます。

河合竜也

河合竜也さんのコメント

 数理システム学科において、大学生活、大学院生活を送り、その結果として学会参加、論文発表、賞の受賞と繋がったと感じています。近年、ITの進歩と統計学の認知度の向上を受けて、データ解析の重要性が高まっています。賞を受賞できたのも、純粋な統計学の研究ではなく、実際に統計学を使った研究を行った結果だと実感しています。今後、銀行員として社会に出ることになりますが、ITや統計の側面から見れば、銀行界はまだまだ改善の余地があると考えます。私はその世界で、大学人生で培った力を武器に、日本の銀行界を引っ張る存在として、貢献していきたいと思います。